新規ビジネスを創る上で、事業パートナーをステークホルダーの中から見つけることが難しければ、その外から探してくることになります。
ステークホルダー以外からパートナーを探す
ステークホルダー以外から事業パートナーを探すアプローチは、ステークホルダーの中から探すことに比べて難易度が上がるものの、実は、限られた選択肢となる自社の周辺で探すよりも、より良いパートナーを見つけることに繋がる可能性があります。
海外進出であれば展示会に出展して、来訪者の中から候補を探すといったアプローチもあるでしょう。しかしながら、一度や二度の出展で理想の事業パートナーに巡り合えることは容易ではないでしょう。従って、当ブログでは、ロングリストを作ってショートリスト化するアプローチについて紹介します。
ロングリストとショートリスト
ロングリストとショートリストというのは、一般的にはM&Aにおいて買収候補を絞り込むための手法ですが、事業パートナーを探す上でも役立ちます。
ロングリストとは、広い条件でパートナー候補を列挙したリストです。海外進出(自社にとって新市場戦略を採用)する場合、進出先で参入しようとしている事業領域に属する企業を、検索エンジンや専門コンサルタントを起用してリストアップしていきます。
ショートリストとは、ロングリストをもとにさらに細かい条件を設定して選別したリストとなります。ショートリスト化する時の設定条件は、以下の点を考慮する必要があります。
①自社の弱みを補強するのに十分な強みを有していそうか
②自社のネットワークでコンタクト可能か
③相手が自社を必要としてくれる可能性があるか(自社に相手の弱み補完する機能があるか)
コンタクトを開始
前項の①~③を考慮して、優先順位を付けながらリストアップし、コンタクトを開始します。自社に強いコネクションがないと、門前払いということも起こりえますが、粘り強くドアノックし続ける必要があります。結果、アポが取れて面談開始となりますが、初回からいきなり「合弁事業をしませんか」と声を掛けたら相手が戸惑うことも考えられます。
一方、先方が意思決定者(オーナー社長等)であれば、最初から「用件」を伝える戦術もあります。双方に、まだ信頼関係がない中で、どのようにして、どのタイミングで「用件」を伝えるかは、一概には言えず、自社のレピュテーション(先方に認知されている企業か否か)や先方との間合いで判断することになります。
筆者の経験上、まずは関係を温めてから、という日本的な距離感の縮め方は、海外においては「何を考えているのか/何をしたいのかわからない」という印象を持たれかねず、早い段階で自社の意図を示す必要があると思います。また、初期段階から意思表示することにより、その先の可能性があるのかないのかが早く判断できるので、時間をセーブできる(ダメなら次の候補先にアタックできる)ことにも繋がると思います。
ピボットが必要
ロングリスト・ショートリスト作成によるドアノッキングという手法は、一般的には打率が低いです。ですから、あまり時間をかけずに取り進め、結果がでなければ、以下のような観点からアプローチを見直す必要があります。
①進出先の現地資本や進出済みの外資とパートナーシップを組むことが難しそうであれば、進出を検討中と推測される外資をリストアップしてみる。(例:周辺国では進出済みだがターゲット国では未進出の外資企業)
②別の進出国を検討する。(例:類似したデモグラフィックデータを有する周辺国)
③事業そのものの方向性を再検討する(例:検討している事業の派生形を考えてみる)
上記の点を考慮しながら、作戦を練り直し、再びドアノッキングを開始します。事業パートナーが見つかるまでピボットしていくということですが、時間が年単位でかかることもあり、自社の時間的猶予もさることながら、担当者の根気と努力が必要とされます。
「進出先で事業がしたい」という強い意志を持ち続けられるかという自分自身との闘いにもなってくるでしょう。
次回は事業パートナー探しの結果、幸いにして合弁事業への参画に意思表示を示してきた企業を見つけることができた場合、どのようにして次のステップに進んでいくべきかについて、お話していきたいと思います。
まとめ
- ロングリストとは、広い条件でパートナー候補を列挙したリスト。
- ショートリストとは、ロングリストをもとにさらに細かい条件を設定して選別したリスト。
- 門前払いを恐れず、粘り強くドアノックし続ける。
- アポが取れたら早い段階で自社の意図を示す。
- 結果がでなければ作戦を練り直しドアノッキングを再開。