最近、YouTubeを開くと「スキル化でAIの業務が完全自動化」といった動画をよく見かけます。
私はこれまで、Claudeのチャットや、Claude Codeと相談しながら、自分の仕事を任せるための仕組み(AIエージェント)をいくつも作ってきました。作るときに考えていたのは、いつも「どんな成果物がほしいか」でした。毎週の経営レポートがほしい、note記事の下書きがほしい。その出力をClaude Codeとすり合わせて、形にしてきただけです。「スキルを入れよう」と考えたことはありませんでした。そもそも、自分の仕組みにスキルが入っているのかどうかすら、確認したことがなかった。
動画が気になったので、自分のAIエージェントが入っているフォルダを片っ端から開けてみました。結果は意外でした。大半に、スキルが入っていない。一部にだけ入っている。それなのに、出てくる成果物に大きな不満はありません。完璧ではないにしても、十分に使える。
ではスキルとは、いったい何なのか。スキルが無くても仕組みが回るとは、どういうことなのか。せっかくなので、これらの仕組みを一緒に作ってきたClaude本人に、改めて聞いてみることにしました。その問答を、3回に分けてお届けします。第1回は土台として、「そもそもエージェントとは何か」「その中に何が入っているのか」を整理します。
エージェントとは何か
まず言葉から整理します。最近よく聞く「AIエージェント」とは何でしょうか。
ふだんのチャットは、一問一答です。こちらが質問すると、Claudeが答えを返す。それで一区切りです。これに対してAIエージェントは、「毎回これを守って、この道具を使って、ここまで自分で進めて」という指示と道具を、あらかじめClaude Codeに渡しておいた一式を指します。一問一答で答えさせるのではなく、仕事を最後まで通させるための仕立て、と言えます。
たとえば「毎週月曜の朝に、先週の数字を集めてレポートにする」。これをチャットで毎回お願いするのではなく、手順と道具をひとまとめにして渡しておく。すると、こちらが細かく指示しなくても、最後まで仕事をやり通してくれる。この一式がエージェントです。
では、その「一式」の中身は何でできているのか。ここに、今回のテーマである3つの部品が出てきます。
中に入っている3つの部品
1つ目は、CLAUDE.mdというファイルです。これは、毎朝かならず手渡す指示書だと思ってください。Claudeは仕事を始めるとき、このファイルを最初にまるごと読みます。だから書いてあることは、最初から最後まで効いている。中身はただの文章で、「あなたの役割はこれ」「この順番で進めて」「この言葉は使わないで」といった指示を、人間の言葉で書いておくだけです。
2つ目が、スキルです。これは、棚にしまった作業手順書だと考えてください。フォルダを1つ作り、その中に「SKILL.md」という手順書を1枚入れる。これでスキルが1つできあがります。実際、スキルのフォルダを開けてみると、SKILL.mdというファイルが1枚入っているだけ、というものもあります。
CLAUDE.mdとの違いは、読み込まれ方にあります。指示書(CLAUDE.md)は毎回まるごと読まれますが、スキルは普段「名前と一行の説明」だけが見えている状態で、棚にしまわれたままです。Claude Codeはその説明を見て、「今の作業にはこの手順書が要る」と判断したときだけ、棚から取り出して全文を読みます。だから手順書を何枚しまっておいても、使わないかぎり普段の動きは重くなりません。手順書の中には、文章だけでなく、決まった処理をするプログラム(Pythonで書いた命令など)を一緒に入れておくこともできます。
3つ目が、サブエージェントです。これは、別室にいる担当者だと考えてください。本体のClaude Codeが、ある調べ物を別室の担当者に頼む。担当者は別室で資料を読みあさり、調べ終えたら、結論だけを持って帰ってくる。途中で広げた資料の山は別室に置いたままなので、本体の机が散らかりません。込み入った調べ物を任せたいときや、複数を同時に走らせたいときに使います。
整理すると、こうなります。常に手元にある指示書(CLAUDE.md)。必要なときだけ棚から取り出す手順書(スキル)。仕事を任せて結論だけ受け取る、別室の担当者(サブエージェント)。同じ「エージェントの部品」でも、役割はそれぞれ違います。
そして冒頭の話に戻ると、私のフォルダの大半に無かったのは、このうちの「スキル」と「サブエージェント」でした。指示書だけで動いていた、ということです。なぜ指示書だけで成果物が出せるのか。「スキルだと思っていたファイルが、実はスキルではなかった」という、私自身の勘違いも含めて、次回ほどいていきます。
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