プレマーケティングの前編では進出市場にフィットした商品開発について説明しました。中編と後編では本国で開発・製造した製品を進出市場で実際に販売していくプロセスについて深掘りしていきます。
プレマーケティング用の商品開発と顧客開拓は同時進行
前編では商品開発についてお話しましたが、顧客開拓も同時並行で進めていきましょう。プレマーケティング向け商品の開発段階から、顧客候補とアポを取り、自社(新設合弁事業)の紹介と、事業コンセプト(どのような強みを売りにしていくか)を説明しながら、顧客の要望をヒアリングし、まだ存在しない自社の商品イメージを形作っていきます。そして、その商品イメージを本国の開発担当に的確にフィードバックし、顧客開拓と商品開発プロセスと同期させていきます。
ゼロベースのグリーンフィールド事業においては、顧客開拓と商品開発が表裏一体になっているということです。
ポイントは、得てして本国の商品開発(R&D)担当は、進出先の市場性や需要家のニーズを熟知しているわけではなく、本国の主要市場と進出先市場のニーズギャップを新設合弁会社に派遣された人材が顧客接点を通じて埋め合わせていく必要があることです。
この精度が、プレマーケティングの成否を分けるといっても過言ではないでしょう。くれぐれも、気合が入り過ぎて過剰スペックにならないよう留意しましょう。求められる市場ニーズに適合しつつ、競合品との差異化を少しでも謡えるかということが重要になってくると思います。
ハイスペックにすると差別化はできるが価格も高くなり量がでない。そうすると新設工場の稼働率が上がらなくなり、事業そのものが軌道に乗らなくなる。一方、工場の稼働率最優先で、価格勝負の開発になると、価格が下がり収益性が損なわれ、工場は回るが利益がでない。このトレードオフの関係を頭に入れた柔軟性のある商品開発戦略が、工場立ち上げ後の現地生産の成功確度を上げていくことになります。
プロトタイプに磨きをかける
出来上がったプロトタイプ(試作品)は、航空便等で輸入し、顧客候補にサンプルとして配布していきます。そのプロセスで顧客からフィードバックをもらい、品質改善に繋げます。これを何回か繰り返し、有償提供できるレベルまで品質を高め、ロット単位での輸入に踏み切ります。
ここで言う品質とはハイスペックという意味ではなく、顧客に納得頂ける現地仕様のクォリティーに仕上げることを意味します。単に高品質を訴求すればコストは上がり、結局は市場性のない商品になってしまうからです。
まとめ
- ゼロベースのグリーンフィールド事業においては、顧客開拓と商品開発が表裏一体になっている。
- 本国の市場と進出先市場のニーズギャップを新設合弁会社に派遣された人材が顧客接点を通じて埋め合わせていく必要がある。
- 顧客からフィードバックをもらい品質改善に繋げる。これを何回か繰り返すことで有償提供できるレベルまで品質を高め、ロット単位での輸入に踏み切る。