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プレマーケティング(先行販売)前編

進出する工業団地と契約を締結し、いよいよ工場の建設が始まりました。工期と予算が計画通りに進むよう日々管理していくことが最重要であることには言うまでもありませんが、事業のローンチ向けた他のアクティビティも強化していく必要があります。

その一つがプレマーケティングです。進出市場で投入する製品を開発し本国で製造、先行輸入販売することです。工場稼働後に市場のニーズに適合した製品を直ちに投入するため、工場が完成するまでに改良を重ね、同時に顧客開拓を進めます。

進出先の市場で流通している製品を研究する

まずは進出市場で流通している競合品の研究から始めましょう。実際に入手し、パフォーマンス(性能、品質等)を分析し、ユーザーからのヒアリングも行います(レピュテーションの把握)。

その過程で、その製品周りのマップを作ります。最もシンプルなものが、縦軸に価格(高い/安い)、横軸に品質(高い/低い)を置いた四象限です。ここに流通している製品をプロットしていき、競合のポジショニングマップを完成させます。

進出市場向けの商品開発

その上で、自社が投入すべき商品コンセプトを作っていきます。建設中の工場がどの品質水準まで製造できるかというのは確定している状態でしょうから、その製造性能に合わせた商品コンセプトの開発というのが前提となります。その範囲の中で、ポジショニングマップ等に基づき本国で開発・製造した製品を輸入販売することがプレマーケティングということになります。

建設する工場の製造能力・技術は、未来を見据えたものになるでしょうから、場合によっては、既存市場のポジショニングマップの観点から、かなりの高価格帯・高品質品が生産できるということになるでしょう。そのようなハイスペック品を当初から投入するべきでしょうか?

ハイスペック品であれば、競合他社との品質的な差別化はできるでしょう。一方で、価格はついていけるのでしょうか。価格競争に巻き込まれることは避けたいが、売りにくい高品質品に注力しても、工場を高い稼働率で回していくことは難しいのではないでしょうか。

そうすると、新設工場で生産できる品質的な余力はまだあるが、まずますの品質である中価格品(コアゾーン)に注力し、市場浸透を優先するという戦略を検討する必要があるかもしれません。その上で、市場浸透度に合わせて、プレミアム路線(高価格帯・高品質品)にシフトしていく戦略の方が現実的でしょう。

自社は外資(日系)なので、そのイメージに沿うブランド戦略も重要になります。中価格帯の中であっても品質は抜きんでているイメージを確立できれば、事業立ち上げ段階の市場浸透速度は増していくでしょう。

まとめ

  • 進出市場で投入する製品を、本国で開発・製造し、輸入販売することをプレマーケティングという。
  • 新設工場の品質的な余力はまだあるが、まずますの品質である中価格品(コアゾーン)に注力し、市場浸透を優先するという戦略が考えられる。
  • 中価格帯の中では品質が抜きんでているイメージを確立できれば、事業立ち上げ段階の市場浸透速度は増していく。

この記事を書いた人

中小企業診断士/みなと中小企業診断士事務所 代表(東京都港区)

1994年に総合商社へ入社し、食料分野で30年以上。貿易実務から海外事業経営まで、事業の数字に向き合い続けてきました。駐在はベトナム・メキシコ・アメリカ。ベトナムでは合弁事業会社の副社長として、会社設立から黒字化までを指揮しました。

2013年に中小企業診断士に登録。経営理論とAIの実装を、一人の専門家のなかで往復させる伴走支援を行っています。立派な資料の納品ではなく、現場で回る仕組みを残すことを大切にしています。東京都港区を拠点に、中小企業の経営者と後継者の事業伴走に取り組んでいます。

著書『商社マンの「実録」海外経営ノート』