オープニングセレモニーが終わり、工場が稼働しました。
経営者視点で次に何を考えていかなければならないのでしょうか?
品質の安定性を確保する
まず考えなければならないことは、品質の安定です。工場稼働直後は、テスト生産と異なり予期せぬことが起こります。トラブルに迅速に対応し、顧客からの信用を失わないよう細心の注意を払います。顧客に対し製品の満足度を確認しながら、製造現場にフィードバックして改善に繋げていきましょう。
稼働率を上げる
経営者視点で次に考えなければならないことは、稼働率を上げることです。稼働率の向上が生産量の増大、売上の向上に繋がり利益を生み出すため、事業採算を左右することになるからです。稼働率が低いと工場の固定費をカバーすることができず黒字化することが困難になります。加えて、事業全体の黒字化(営業利益獲得)のためには、本社経費(人件費、福利厚生費、オフィス賃料、光熱費等の固定費)もカバーしなければなりません。
工場の固定費
工場の固定費(製造固定費)とは、労務費(人件費のうち製造に関わるもの)、水道光熱費、賃借料、減価償却費など、稼働率に関係なく一定でかかる費用です。装置産業の場合、新設工場における減価償却費の割合が高くなる傾向があります。但し、減価償却費は現金の支出を伴わない費用であること(資金繰りには直接的に影響しない費用であること)に留意しておきましょう。
どうやって固定費を回収するのか
稼働率が低いと、売上に対する固定費の割合が非常に高い状態になります。稼働率を上げて、売上を増やし、利益を稼ぎ、固定費を回収していかなければなりません。全額回収して初めて黒字になります。
黒字化のためのキードライバー
固定費(製造固定費及び本社固定費)を全額カバーしなければ黒字(営業利益の黒字化)にはならないのですが、黒字化のためのキードライバー(目標達成のための重要な要素)はいくつかあります。主に、稼働率を上げ売上を増やす(それにより利益を増やす)、費用を削減するというこの2つになりますが、このテーマは奥が深く、次回以降深掘りしていきます。
まとめ
- 工場本格稼働後で一番注意を払わなければいけないことは、品質の安定性。
- 次に大事なことは、固定費をカバーするため、いち早く稼働率を上げていくこと。
- 黒字化のためには、稼働率を上げて売上を増やし費用を削減していく必要がある。