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組織を動かす(1)~組織設計~

前回まで、内部環境あるいは外部環境の制約条件がある中で、どの製品をどれだけ販売し、利益を最大化するか、プロダクトミックスと稼働率の関係性について話してきました。

今回より、上記プロセスにおける判断基準の定量化により、収益最大化のための方向性が見えてきた中で、自社の組織をどのように動かしていくべきなのか、オペレーションマネージメントの観点から深掘りしていきたいと思います。

事業立ち上げ段階の組織について

プレマーケティング後編では、営業要員の採用方法について解説しました。営業要員が1人採用できたら、ヘッドハンティング会社経由さらなる人材の獲得を目指しつつ、その1人目の営業要員に人材を紹介してもらうリファラル採用についてもお話しました。

事業立ち上げの初期段階では、そうやって人数が増えていく中でも、未だ少人数の集団であり、ワイガヤ的な雰囲気が醸成され、会社の中はスタートアップそのものです。自分の頑張りが会社の成長に直接的に繋がることを実感できるフェーズであり、個人個人が活き活きとしていて、上手くいけば互いにたたえ合う、苦しい時は互いに助け合う、そういった相互扶助的な空気を醸成させやすいフェーズともいえるでしょう。

経営者目線としては、事業がこのまま拡大していっても、士気の高いワイガヤ的雰囲気を維持し続けられるかが、腕の見せ所といっても過言ではないでしょう。ともすれば、多忙の中で淡々と業務をこなすことになりがちですが、日頃から従業員一人一人に語りかけ、進出国の一般的な企業文化次第ですが、ワークショップ(勉強会等)、表彰制度、適度な懇親会やレクリエーション(チームビルディング)を取り入れることも一案だと思います。

組織設計

ワイガヤできる少人数グループのままで行きたいところですが、事業が拡大するに連れ、その限界が訪れます。組織化し権限委譲を進めていかないと、会社が回らなくなってくるからです。そこで、組織設計が必要になりますが、事業立ち上げ時の組織形態は下図のようなシンプルな機能別組織が望ましいでしょう。

機能別組織とは、文字通り、製造、営業、管理といった異なる機能を経営者直下で組織化することです。この組織形態のメリットは、トップが各組織に直接指揮できることです。トップに情報が集中するため、迅速に意思決定ができないとオペレーションが滞るリスクはありますが、逆に、迅速に意思決定ができなければ、新規参入者として、競合相手にあっという間に押し込まれてしまいます。

また、この組織形態の留意点として、組織化が不明瞭だった頃、即ち事業立ち上げ初期段階において、お互いの顔が見える中でのワイガヤ的雰囲気を、組織間(営業⇔製造、製造⇔管理、営業⇔管理)で維持し続けることが難しくなります。工場が郊外にあり、営業拠点を市街地に置くと、さらにその傾向が強くなります。この心理的距離を埋めていくことも経営者の大事な仕事だと思います。

まとめ

  • 事業立ち上げの初期段階では、未だ少人数の集団であり、ワイガヤ的な雰囲気が醸成され、相互扶助的な空気を醸成させやすいフェーズ。
  • 事業が拡大するに連れその限界が訪れる。組織化し権限委譲を進めていかないと、会社が回らなくなってくるからである。
  • 機能別組織とは、製造、営業、管理といった異なる機能を経営者直下で組織化すること。
  • 組織化の留意点として、それ以前のお互いの顔が見える中でのワイガヤ的雰囲気を維持し続けることが難しくなるため、心理的距離を埋めていく施策を打つことが経営者の大事な仕事となる。

この記事を書いた人

中小企業診断士/みなと中小企業診断士事務所 代表(東京都港区)

1994年に総合商社へ入社し、食料分野で30年以上。貿易実務から海外事業経営まで、事業の数字に向き合い続けてきました。駐在はベトナム・メキシコ・アメリカ。ベトナムでは合弁事業会社の副社長として、会社設立から黒字化までを指揮しました。

2013年に中小企業診断士に登録。経営理論とAIの実装を、一人の専門家のなかで往復させる伴走支援を行っています。立派な資料の納品ではなく、現場で回る仕組みを残すことを大切にしています。東京都港区を拠点に、中小企業の経営者と後継者の事業伴走に取り組んでいます。

著書『商社マンの「実録」海外経営ノート』