設立した会社を会社たらしめるのはヒト

海外事業の教科書

会社を設立し資本金が振り込まれたら、会社の原形が出来上がりますが、「ヒト・モノ・カネ」のカネだけある状態なので、事業パートナーと会社が設立できたと祝杯を上げても、会社ができたという実感が湧かないものです。

それはなぜか?そこに、会社を会社たらしめるヒト(従業員)がいないからです。ヒトが集まってこそ会社ということを会社を設立してみて初めて感じる瞬間です。

設立したばかりの会社という”ハコ”に中身(ヒトとしての役割)を組み込んでいくプロセスが採用ではないでしょうか。

どの役割の人材から採用していくべきか

筆者の経験上、まず最初に採用すべき人材は人事系です。

想定する事業規模にもよりますが、従業員を数十人~数百人、短期間で集める必要がある場合、採用力が重要となります。それが海外であれば、言語や文化の壁があるため、採用を主体的にリードできる人事のマネージャークラスを採用することが最初の一歩と考えます。

採用を主担当とする人事マネージャーは、会社の顔になってもらう人材でなければならず、それまでの採用経験のみならず、その人物に好感を持てるか(求職者からも好印象をもってもらえるか)ということも重要になります。

次に採用すべき人材は?

次に採用すべき人材は財務経理系の人材です。財務経理系の人材を採用しないと、ちょっとした経費の支出も、自ら複式簿記で表計算入力をしていかなければなりません。少人数の会社を想定しているならば、人事系人材よりも財務経理系人材の採用を優先して良いかもしれません。

人事系と財務経理系の人材が採用できると、会社という”ハコ”を維持していく上で最低限の体制が整います。「ヒト・モノ・カネ」のヒトとカネの管理体制を整備することにほからならないからです。

一方、何かが足りませんね。モノ(あるいはサービス)を生み出すための人材が必要となります。製造業の場合は、工場を建設するためのエンジニア、製造ラインを回していくための製造マネージャー候補の採用が必要になります。

また、自社の製品を販売するための営業要員も必要になります。会社設立時の採用優先順位は、製造業の場合、売るための商品を生み出す工場もないことから、それほど高くはありませんが、いずれ必要となる人材ですので、初期段階から営業のコアとなる人材をじっくり探していきましょう。特に、「アンゾフの成長ベクトル論」でお話した新市場開拓戦略をとる場合、その新市場を熟知した人材の獲得が鍵となります。

また、工場を建設している間、本国から製品を輸入するなどして顧客開拓のための先行販売(プレマーケティング)を実施する必要が出てきますので、ガントチャートを作成するなどして、いつまでに、どのくらいの営業要員を確保していくか、計画的に取り進めましょう。

まとめ

  • 設立したばかりの会社という”ハコ”に、中身(ヒトとしての役割)を組み込んでいくプロセスが採用。
  • まず採用すべき人材スペックは人事系と財務経理系。「ヒト・モノ・カネ」のヒトとカネの管理体制を整備。
  • 次にモノ(あるいはサービス)を生み出すための人材、即ち製造系や営業系の人材を採用。
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