事業パートナー候補がようやく固まった。さぁ、これから合弁事業を始めるぞ!
というステージに入ると、ワクワクしますしスイッチが入るものです。
しかしながら、合弁事業を立ち上げるために乗り越えなければならない壁がいくつかあります。まず、最初がMOUの締結となります。MOUとは、Memorandum of Understandingの略で、基本合意書、あるいは覚書と言われる正式文書です。
じっくりと合弁契約交渉に臨むための取り交わしがMOU
一足飛びに合弁契約書の締結に進みたいところですが、合弁契約書は、場合によっては100ページを超える膨大なものとなり、進出国の法規制等に照らし合わせながら、事業パートナー双方の責任範囲や出資金額等を詳細に定める契約書であり、事業の要です。
合弁契約書は、ドラフトの準備そのものに時間を要し、条件面を双方が納得いくまで交渉し、合意事項を1つ1つ契約書に落とし込んでいく作業は膨大となるため、法律の専門家を交えて進めても、一般的には数か月はかかります。
その間、契約交渉当事者を拘束する取り決めがないと、相手方が合弁契約交渉中に、他のパートナー候補と契約交渉を行っても、それを止める術がないことになります。それでは、安心して契約交渉に臨むことができません。そういったことを未然に防ぐスキームの一つがMOUとなります。
MOUの留意点
また、「パートナー候補と合同で事業性調査(FS)を行い、それから合弁契約の検討に入る」というプロセスを明確にする目的で、Joint (Feasibility) Study Agreementという形で締結することも考えられます。
一般的には独占交渉権とその期間、加えて、秘密保持義務も明記しておくべきでしょう。MOUは合弁契約の内容を左右するような事項(双方の権利義務や出資額等)はNON BINDING(法的拘束力なし)にして、合弁契約交渉の前提となる条件(独占交渉権とその期間、秘密保持義務等)は、拘束力を持たせることが多いようです。
上記はあくまで一般論となりますので、詳しくは専門家の助言を受けてください。
次回は合弁契約についてお話します。
まとめ
- じっくりと合弁契約交渉に臨むための取り交わしがMOU。
- 合同で事業性調査(FS)を行い、それから合弁契約の検討に入るというプロセスを明確にする目的で、Joint (Feasibility) Study Agreementという形で締結することもある。
- MOUには、独占交渉権とその期間、秘密保持条項を明記しておくべき。