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Vol.28|造園業にAIを実装する。〜プロが数日、AIは一瞬〜

「分かるように頑張ってるって感じますけど、今日はすごく難しいですね」。那覇造園土木のアトツギ、前原さんが画面ごしにそうおっしゃいました。この日のテーマは、設備投資の採算をディスカウント・キャッシュフロー(DCF)法で評価することです。将来生み出すお金を今の価値に直して投資を測る、金融のプロが使う手法です。

前回は回収期間法という感覚的につかみやすいやり方で、ショベルカーと小型ダンプカーへの設備投資が何年で取り戻せるかを見ました。今回はそこに、ファイナンスの肝であるDCF法を重ねます。本来なら、投資計算の担当者でも数日はかかる複雑な計算です。それを、その場でClaude Coworkに組ませていきました。

ここで私が選んだのは、Claude Coworkでした。Claudeには用途の異なるいくつかの顔があります。Claude Chatは相談相手として思考が深い一方、PC内でデータを参照しながら、ファイルを生成する作業はしません。Claude Codeは逆に、自ら考えながら作業を進めるのが得意で、自律的に動くAIエージェント構築で力を発揮します。Claude Coworkは、ちょうどその中間にある感じです。Chatのように相談に乗りながら、同時に表計算や分析レポートといった成果物まで仕上げてくれる。

今回は、相談をしながら、計算作業とレポート作成を同時に行うという複雑なタスクでしたから、Coworkが最も向いていると判断しました。しかもCoworkには、これまでのセッションの記録がすべて保管されているフォルダを直接読みに行くことができます。ファイルを一つずつ送らなくても、過去の議論にさかのぼって参照してくれる。作業の進み具合も記憶してくれるので、途中で中断してもすぐに再開できます。

Claude Coworkは、同じ業界の上場企業のデータを集め、割引率をはじき出し、将来のお金を今の価値に直す計算を、見る間に表へ落としていきます。けれども私は、出てきた数字をそのまま受け取りません。必ずExcelに計算式を残させます。答えだけを置くのではなく、どう計算したのかを式として残す。そうすれば、人間が後から一つひとつ確かめられるからです。

AIが計算し、人が確かめる。この日も私はClaude Coworkと、6年目以降も使い続ける機材をどう評価するかで、何度も認識を合わせ直しました。私が「この理解で合っているか」と言葉にして問うと、Claude Coworkはロジックを組み直して返してくる。任せきるのでも、突き放すのでもありません。間に式という確かめられるものを挟むから、安心して任せられます。

前原さんにとっては、慣れないファイナンス用語が続く時間でした。それでも食らいついていただいていたことが、印象に残りました。こうした数値分析を自分の言葉で語れるようになると、債権者との交渉や、将来的にM&Aを検討するような局面で、経営者は地に足がついた折衝に臨むことができるようになります。計算をAIが肩代わりするからこそ、経営者はその中身をしっかりと理解し検証することに時間を使える。難しさの先に、ちゃんと経営者を守る力があります。


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