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Vol.34|造園業にAIを実装する。〜押すだけで、翌朝6案〜

前原さんが、首から下げる小さなボイスレコーダーを買われました。会議が終わって車に乗ったあと、ボタンを押して「さっきの打ち合わせで、こう思った」と一言だけ吹き込む。そのための道具です。

きっかけは、SNSの発信を自動化したい、というご相談でした。ただ、話すうちに前原さんがおっしゃったのは、少し意外な言葉でした。「僕の考えは、Xのポストを作ることじゃなくて、日々の見積もりとか現場とか、人に会うことにフォーカスしていきたい」。発信のためにネタをひねり出す時間を費やすのではなく、現場に集中して、その中でAIがネタを抽出して自動で投稿される。そんな状態にしたい、と続けられました。

そこで、こう設計することにしました。前原さんの録音を、一番の情報源にする。現場での一言、会議のあとの感想、週末に家族と出かけた写真を見ながらの独り言。それをAIが受け取り、翌朝5時、6つの投稿案にまとめてメールで届ける。目を覚ますと、もう下書きが並んでいる。前原さんは、その中から刺さるものを選んで、自分の言葉に直すだけです。

案を作るときの切り口には、これまで一緒に積み上げてきた発信の「設計図」を使います。仕事の豆知識、現場の実況、お客様の声、経営の裏側の正直な話。前原さんらしい視点や語り口を、AIに予め覚え込ませておく。無理に整えず、その日の熱が残ったまま、翌朝の下書きに変える。それが狙いです。

ひとつだけ、SNS自動発信化の設計において、ピボットした点があります。前原さんは「全部を見せることが誠実さだ」とお考えでした。ただ、社内では「ステークホルダーはそこまで全部を知りたいわけではない」という声もあったそうです。それを受け、例えば利益率等の業務上の細かい話は差し控えるようにしました。

実は、いま作っているのと同様の仕組みを私自身も使っていて、週2回、AIからのメールで一日が始まります。自分では気づいていないみなと中小企業診断士事務所としてのNext Actionを、そこで受け取る。最初の3ヶ月はしっくり来ませんでしたが、ダメ出しを重ねるうちに、だんだん自分の相棒になっていきました。前原さんのエージェントも、同じ育て方をします。発信の起点が、机に向かう時間から、現場での一言へ。押すだけで、翌朝には言葉になっている。そんな毎日を、これから一緒に作っていきます。


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