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稼働率を上げる (1) ~固定費~

オープニングセレモニーが終わり、工場が稼働しました。

経営者視点で次に何を考えていかなければならないのでしょうか?

品質の安定性を確保する

まず考えなければならないことは、品質の安定です。工場稼働直後は、テスト生産と異なり予期せぬことが起こります。トラブルに迅速に対応し、顧客からの信用を失わないよう細心の注意を払います。顧客に対し製品の満足度を確認しながら、製造現場にフィードバックして改善に繋げていきましょう。

稼働率を上げる

経営者視点で次に考えなければならないことは、稼働率を上げることです。稼働率の向上が生産量の増大、売上の向上に繋がり利益を生み出すため、事業採算を左右することになるからです。稼働率が低いと工場の固定費をカバーすることができず黒字化することが困難になります。加えて、事業全体の黒字化(営業利益獲得)のためには、本社経費(人件費、福利厚生費、オフィス賃料、光熱費等の固定費)もカバーしなければなりません。

工場の固定費

工場の固定費(製造固定費)とは、労務費(人件費のうち製造に関わるもの)、水道光熱費、賃借料、減価償却費など、稼働率に関係なく一定でかかる費用です。装置産業の場合、新設工場における減価償却費の割合が高くなる傾向があります。但し、減価償却費は現金の支出を伴わない費用であること(資金繰りには直接的に影響しない費用であること)に留意しておきましょう。

どうやって固定費を回収するのか

稼働率が低いと、売上に対する固定費の割合が非常に高い状態になります。稼働率を上げて、売上を増やし、利益を稼ぎ、固定費を回収していかなければなりません。全額回収して初めて黒字になります。

黒字化のためのキードライバー

固定費(製造固定費及び本社固定費)を全額カバーしなければ黒字(営業利益の黒字化)にはならないのですが、黒字化のためのキードライバー(目標達成のための重要な要素)はいくつかあります。主に、稼働率を上げ売上を増やす(それにより利益を増やす)、費用を削減するというこの2つになりますが、このテーマは奥が深く、次回以降深掘りしていきます。

まとめ

  • 工場本格稼働後で一番注意を払わなければいけないことは、品質の安定性。
  • 次に大事なことは、固定費をカバーするため、いち早く稼働率を上げていくこと。
  • 黒字化のためには、稼働率を上げて売上を増やし費用を削減していく必要がある。

この記事を書いた人

中小企業診断士/みなと中小企業診断士事務所 代表(東京都港区)

1994年に総合商社へ入社し、食料分野で30年以上。貿易実務から海外事業経営まで、事業の数字に向き合い続けてきました。駐在はベトナム・メキシコ・アメリカ。ベトナムでは合弁事業会社の副社長として、会社設立から黒字化までを指揮しました。

2013年に中小企業診断士に登録。経営理論とAIの実装を、一人の専門家のなかで往復させる伴走支援を行っています。立派な資料の納品ではなく、現場で回る仕組みを残すことを大切にしています。東京都港区を拠点に、中小企業の経営者と後継者の事業伴走に取り組んでいます。

著書『商社マンの「実録」海外経営ノート』