AIで「見えないコスト」を削減!エース社員の思考を組織の資産に変える方法【AI時代の羅針盤 Vol.16】

前回は、AIを活用して新規事業の種を見つけ、開発を加速させる方法についてお話ししました。今回は視点を社内に戻し、AIがいかにして組織の足腰を鍛え、中小企業が抱えがちな「見えないコスト」を削減していくか、その具体的な手法をご紹介します。

「あの件は、〇〇さんしか知らない」「必要な書類がどこにあるか分からない」。こうした「業務の属人化」や「情報を探す手間」は、日々の生産性を静かに蝕んでいく”見えないコスト”です。AIは、この根深い課題に驚くほど有効な処方箋を提示してくれます。

NotebookLMで作る「社内専用ナレッジベース」

まず取り組むべきは、社内ナレッジベースの構築です。ここで再び、Googleの「NotebookLM」が絶大な効果を発揮します。重要なのは、これは外部に公開するチャットボットとは全く異なる、完全に社内利用に限定したシステムであるという点です。

就業規則、経費精算規程、各種申請マニュアル、過去のトラブル対応報告書などをNotebookLMに読み込ませるだけで、社員がいつでも自然な言葉で質問し、即座に正確な答えを得られる「社内専用のFAQシステム」が完成します。これにより、組織全体の生産性が向上するだけでなく、これまでベテランの頭の中にしかなかった知識が、組織の共有資産へと変わるのです。

Excel業務の自動化:身近なツールを最強のパートナーに変える

日々の業務で多用するExcel。毎月同じような集計やレポート作成に時間を費やしていないでしょうか。これまでのシリーズでご紹介したように、AIに「このデータから、特定の条件に合うものを抽出し、集計表を作成するVBAコードを書いて」と指示するだけで、面倒な手作業を自動化するプログラムを瞬時に作成できます。普段使っている身近なツールをAIの力で最大限に活用し、業務を劇的に改善する。これぞ中小企業ならではの、俊敏性を活かしたDXと言えるでしょう。

究極のナレッジ継承:「エース社員の思考」をAIで形式知化する

そして、AI活用における最も画期的なアプローチの一つが、「暗黙知の形式知化」です。経営学者の野中郁次郎氏が提唱した「SECIモデル」をご存知でしょうか。これは、個人の経験や勘といった言語化しにくい「暗黙知」を、対話や共同作業を通じて誰もが理解できる「形式知」へと変換し、組織の知識を創造・発展させていくプロセスを示したものです。

従来、この「暗黙知の形式知化」は非常に困難なプロセスでした。しかし、生成AIの登場で状況は一変します。例えば、エース社員や経営者が参加する重要な会議の議事録、特にその発言データや口ぐせまで含めてNotebookLMに学習させてみてください。そして、若手社員が「この案件について、社長ならどう判断するだろう?」とAIに問いかける。AIは、過去の膨大な発言データ(暗黙知の断片)から、その思考プロセスや判断基準をモデル化し、「社長は過去の類似案件で、〇〇という点を重視していました」といった、具体的な示唆(形式知)を与えてくれます。

これは、組織全体の意思決定を迅速化し、トップ人材の貴重なノウハウを組織の資産として継承するための、極めて強力な仕組みとなり得るのです。

社内業務の変革は、組織の体力を強化します。次回は、その力を外部に向け、経営の中核である「戦略的意思決定」にAIをどう活かすか、その方法を見ていきましょう。

(Vol.17へ続く)

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この記事を書いた人

中小企業診断士(東京都港区)
ストアカ「世界一やさしい決算書の読み方」「世界一やさしい経営のお勉強」講師
総合商社勤務30年
新規ビジネス、海外事業に強み
ベトナム、メキシコ、米国に駐在経験
営業支援会社、EC出店会社、スタートアップへの支援実績あり
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