AIは経営者の「壁打ち相手」。孤独な意思決定を支える最強の参謀【AI時代の羅針盤 Vol.17】

前回は、社内のナレッジ共有や定型業務の自動化によって、組織の「見えないコスト」を削減する方法についてお話ししました。組織の足腰が強固になったところで、いよいよ経営の中核である「戦略的意思決定」の領域にAIを活用していきます。

新規事業への挑戦、競合との差別化、市場の変化への対応――。経営者の意思決定は、常に孤独で、重い責任が伴います。AIは、その答えを直接教えてはくれません。しかし、その孤独な旅路において、経営者の思考を深める「最強の参謀」の役割を果たすことができます。

AIと行う市場調査・環境分析

これまで専門の調査会社に依頼していたような市場調査も、今や自社でスピーディーかつ低コストで実施できるようになりました。ここで活躍するのが、ChatGPTやGemini、そしてGensparkのディープリサーチ機能などです。

例えば、新規事業を検討している際に、AIにこう問いかけます。

「新たに参入を検討している〇〇市場について、マクロ環境分析(PEST分析)を行ってほしい」

「〇〇業界における主要プレイヤー3社を挙げ、それぞれの強み・弱みを比較分析して」

AIは、ウェブ上の膨大な情報から、戦略立案に不可欠な質の高い情報を瞬時に収集・整理してくれます。これにより、経営者は事実に基づいた、より確かな意思決定を行うための土台を、迅速に築くことができます。

AIブレインストーミングのさらなる可能性

AIの活用は、既存の情報を分析するだけにとどまりません。新たなアイデアを生み出す「発想のパートナー」としても非常に有効です。

AIを活用したブレインストーミングに、「デザイン思考」のような思考フレームワークを組み合わせる手法は、非常に大きな可能性を秘めています。これは、単にアイデアを羅列させるだけでなく、顧客の課題に深く共感し、解決策をプロトタイプとして具体化し、検証を繰り返すという一連のプロセスを、AIと共に高速で回していくアプローチです。このテーマについては非常に奥が深く、私自身も講座などで詳しく解説していますが、今後の記事でも改めて深掘りしていきたいと考えています。

AIの提案を見極める「審美眼」の重要性

ここで最も強調したいのは、繰り返しになりますが、AIは最終的な経営判断を下してはくれない、ということです。「A事業とB事業、どちらに投資すべきか」という問いに、AIはデータに基づいた示唆を与えてくれますが、その「答え」に依存しすぎるのは極めて危険です。最終的な意思決定の責任を負うのは、常に経営者自身です。

AIとの対話を通じて、私たちは自分一人では気づけなかった論点や見過ごしていたリスク、そして新たな可能性といった「質の高い問い」を得ることができます。しかし、AIの提案はあくまで選択肢の一つであり、それを鵜呑みにするのではなく、自社の理念やビジョン、そして現場の肌感覚と照らし合わせて、本当に活用できるものかを見極める「審美眼」が、これからの経営者には極めて重要になるでしょう。AIは最高の「壁打ち相手」ですが、最後のシュートを打つのは、あなた自身なのです。

さて、5回にわたってお届けするこの新シリーズも、いよいよ次回が最終回です。これまでの議論を総括し、AIと共に未来を創る中小企業の姿を描いていきたいと思います。

(Vol.18へ続く)

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この記事を書いた人

中小企業診断士(東京都港区)
ストアカ「世界一やさしい決算書の読み方」「世界一やさしい経営のお勉強」講師
総合商社勤務30年
新規ビジネス、海外事業に強み
ベトナム、メキシコ、米国に駐在経験
営業支援会社、EC出店会社、スタートアップへの支援実績あり
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