御社にも、こんな業務はないでしょうか。月に1度だけ作る書類。取引先ごとに書式が違う資料。たまにしか来ないのに、来ると半日つぶれる問い合わせ。1件ずつは小さく、頻度が低く、種類は多い。こうした「その他大勢」の業務を、ロングテール業務と呼びます。IT専門メディアの日経クロステックでも紹介されている考え方です。
これまで一般にロングテール業務といえば、入力や転記、書式の修正、資料の取りまとめといった細かな事務作業が中心でした。1件のためにシステムを作ると採算が合わず、人の手と記憶に残されてきました。
ところが、日々AIエージェントを構築していると、ここへ新たなロングテール業務が加わったと感じます。財務モデリングといった投資採算分析、申請書の所見、業績分析レポート、契約書のレビューなど、これまで高度なホワイトカラーの非定型業務とされてきたタスクです。
なぜ、これらまで含まれるのか。AIエージェントは、タスクを「単純か、高度か」では見ていないからです。材料となる情報、つまり入口(インプット)があり、完成した成果物、つまり出口(アウトプット)が見えている。その間で、どの情報を選び、どの基準で判断し、どう加工するかという「法則」(プロセッシング)を抽出できれば、AIエージェントには再現可能な定型業務になるのです。パソコン上で完結するタスクの多くが、この範疇に入ってくるのではないでしょうか。
上記の非定型業務においては、過去の成果物、修正履歴があり、「しごでき」の頭の中に一定の法則や処理パターンが残っています。それらを相称して暗黙知と言います。それらを表出し形式知化(ルールブック化)できれば、AIエージェントに任せられるワークフローに組み替えられます。最終判断や承認は人が担いますが、その前段の読み込み、比較分析、計算、重要ポイントの抽出、文章化はAIに任せられるのです。
しかも、エンジニアが使うものと同等の高性能AIモデルを、非エンジニアでも安価なコストで、かつ、自然言語で利用できるようになりました。高コスト・エンジニア中心から、低コスト・高性能かつ、プログラミング言語不要へ。これが「デジタルの民主化」と言われるゆえんです。
つまり、AIエージェント時代には、8対2の法則でいう「時間を奪う8割」の見え方が変わります。その中身は、細かな事務作業だけではありません。投資採算分析や契約書のレビューのような高度なタスクにも、AIエージェントが再現できる部分が数多く含まれています。その部分をAIエージェントに移せば、業務時間は大幅に削減され、人は最終判断、承認、顧客との対話など、人が本来担うべき付加価値の高い領域にシフトすることができるでしょう。
ロングテール業務のAI自動化革命とは、雑務を速く処理する話ではありません。高度なタスクまで分解し、人とAIエージェントの役割を組み替えることで、ホワイトカラーの時間の使い方そのものを根本的に変える話なのです。次回は、その最初の実例として、私の帳簿が「計上しといて」の一言で動いた話をします。
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御社の「小さく、多く、面倒な仕事」を、一度棚卸ししてみませんか。
月に一度だけ作る資料。取引先ごとに書式が違う書類。たまに発生する問い合わせへの対応。複数のファイルから数字を集めて作る報告書――。一つひとつは小さくても、種類が多く、会社全体では大きな時間を使っている。けれど、従来のシステムでは採算が合わず、人の手と記憶に残されてきた。こうした仕事を、みなとでは「ロングテール業務」と呼んでいます。
AIエージェントの登場によって、この領域も自動化できるようになってきました。
みなとは、単にAIツールを紹介するのではありません。御社の業務を棚卸しし、人が判断すべき仕事とAIに任せられる仕事を分け、まずは一つの業務から小さく試します。試作、検証、運用設計を重ねながら、現場で使い続けられる仕組みを一緒に組み上げます。
目指すのは、単に仕事を速くすることではありません。AIに任せられる作業を移し、経営者や社員の時間を、顧客対応、提案、人材育成、新しい事業など、会社を前へ進める仕事へ戻すことです。
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