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Vol.29|造園業にAIを実装する。〜AIで編集部をつくる〜

「今までなら、雲を掴むような話だと思っていました。でも、そこに持っていきたいですね」。那覇造園土木のアトツギ、前原さんが画面ごしにそうおっしゃいました。この日に輪郭が見えてきたのは、日々の発信をAIに任せて回し続ける仕組みです。

前号まで、私たちは設備投資の計画を一緒に詰めてきました。今号のテーマは、その合間にふと持ち上がったものです。前原さんは、沖縄を襲った台風のさなかも、現場の様子をXで伝え続けていました。地域の人の心配ごとに応えるための、最前線からの発信です。ただ、現場で手を動かす人が、その発信を無理なく続けていくのは、たやすいことではありません。

そこで私がお見せしたのは、無理なく続けるための、私自身のやり方でした。私のnoteは、AIが書いています。Vol.18で前原さんが、もう一人雇ったようなものだと驚かれた、あの仕組みです。ホームページから素材を探し出し、3000字ほどの記事に仕立てる。私は編集長として読み解き、最後に手を入れるだけです。

この同じ仕組みを、前原さんのXやnoteにも組めないか。それが、この日に話し合ったことでした。しかも今は、「一人」のライターに任せるだけでなく、もう一歩先まで進められます。役割を分けた複数のAI(サブエージェント)で組み立てるのです。構成を立てる設計担当、文章を書く執筆担当、仕上がりを確かめる校正担当。「一人」だった業務委託ライターが、小さな編集部に育ったようなものです。担当が分かれる分、仕上がりはぶれず、回を重ねるほど精度が増していきます。

動かし方も、思いのほか身軽です。あらかじめ決めた複数の切り口から、AIが毎朝「今日はこのテーマでどうですか」と発信案を差し出してくる。前原さんは、そこから選ぶだけ。今日どの現場に入ったかをAIに答えれば、それが一本の記事になっていくイメージ。過去の投稿や言葉づかいまで学んでいるので、仕上がりは前原さんらしいトーンに収まります。AIが発信案を提案し続ければ、人は現場に専念できます。手のかかる発信を任せられる分、人手の足りない時代でも、効率的にマンパワーを現場に投入しやすくなるでしょう。

「これはもう理想です」。前原さんの声が弾みました。かつては雲を掴むようだった話が、手の届くところまで来ています。現場に立つ人ほど、書く仕事はAIに渡していい。手を動かすべき場所は、別にあります。


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