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Vol.32|造園業にAIを実装する。〜雑談の間に、AIが直す〜

「めちゃくちゃ納得しましたね。」那覇造園土木のアトツギ、前原さんが画面越しにそうおっしゃいました。声が弾んでいます。この日お見せしたのは、10年分の事業計画です。売上の見通しから損益、資金繰り、貸借対照表まで、すべてが連動する1つのExcelです。

半年前までの私なら、この計画書を1つずつ手入力して作っていました。今は違います。前原さんとのセッションの積み重ねをClaude Codeに読み込ませ、部下に指示するように方針を伝えて組ませました。守らせた作法は1つ。合計表示やパーセンテージ表示など計算が必要なセルには値の入力を認めず、計算式を埋め込ませたことです。Vol.28やVol.31でお話ししたとおり、式が残っていれば、人間が後からたどって検証できます。

この計画に、前原さんから注文が入りました。Vol.13でご紹介した薪の事業を、いったん計画の本体から外してほしいというものです。実証実験で手応えを確かめ、社員の納得を得てから載せたい。理由をたずねると、「数字に説得力を持たせたい」と。社員に約束する数字だからこその、誠実な判断だと思います。

この日の山場はここからでした。私はその修正をClaudeに口頭で伝え、画面を切り替えて、前原さんと次の相談を始めました。雑談まじりの数分の後に戻ると、もう直っています。外した事業の切り出しも、売上構成の割り振り直しも、連動するシートの隅々まで反映されていました。外した事業は消すのではなく、参考の資料として独立したシートに残してあります。

「上ぶれも全然あり得る数字だなと思ってます。」と前原さん。だからこそ、ここからは経営者にしかできない仕事が残ります。私がお願いしたのは、完成したExcelの各セルの中身を確認し、自分がゼロベースで作成するのと同じように計算ロジックを読み込むこと。来月から始まる新事業年度の月例会議でこの計画を社員に発表するのは、前原さんご自身だからです。AIがたたき台を作り、経営者が語る。Excelの中身を深く理解し、自分の言葉で計算根拠を説明できるようになったとき、計画は借り物ではなくなります。

語れるところまで読み込んだ計画が、人を動かしていきます。


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