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Vol.38|造園業にAIを実装する。〜パソコンは、消えていた〜

毎朝5時、アトツギの前原さんのスマホに、6案の発信下書きがメールで届きます。では、この原稿は誰が、どこで作っているのでしょうか。誰も夜通しで起きているわけではありません。

仕組みの本体は、全部クラウドにあります。中身は大きく3つ。1つ目はAIへの指示書で、CLAUDE.mdというテキストファイルに、原稿の書き方など全体の決まりを書き込んであります。2つ目はルールブック。前原さんの文体や登場人物など、確定した細かな決まりを記録した複数のテキストファイル(.md形式)です。3つ目は、字数や表記を自動で点検する、Pythonで書かれた小さなプログラム。

このファイル一式を読んで動くAIまでを含めた仕組み・構造全体を、SNS執筆エージェントと呼んでいます。ファイル一式の置き場所は、GitHubというサービスです。本来はエンジニアがプログラムを保管・共有する定番サービスで、ここではクラウド上のエージェントの保管庫です。

誰が毎朝の仕事を始めるのか。使っているのは、Claude CodeのRoutineという予約実行機能です。そこに「毎朝4時に6案を作る」と予約を入れてあります。時刻が来るとクラウドの上でClaudeが起動し、GitHubからCLAUDE.mdとその他の.mdを読み出し、前日の学びと録音の文字起こしをもとに6案を書き上げます。朝5時には、Google Apps Script(Googleのメールを自動操作できるプログラム)が原稿を前原さんへ届ける。配達役です。予約から配達まで、人の手はどこにも入っていません。

この間、前原さんのパソコンは電源すら入っていません。私のパソコンも同じです。AIを動かすというと、パソコンをつけっぱなしにする光景を想像されるかもしれません。実際には、頭脳も実行環境もクラウド側に設定できるため、誰のパソコンとも無関係に24時間回り続けます。

なぜGitHubに置くのか。仮にこのAIエージェントを私のパソコンに保管したとします。電源が落ちた朝、Claude CodeはCLAUDE.mdにたどり着けず、6案は届きません。極端な話、私のパソコンが今日壊れても、明日の朝5時の6案は届く。無人で動かし続けるとは、そういう状態を作ることです。

Vol.35でお話しした、複雑な仕組みは裏側(クラウド側)に寄せるという設計は、止まらず動かし続けるためだけのものではありません。人間側はパソコンもClaude Codeも一切触らず、メールを読み、修正事項を返信し、翌朝以降のネタを仕込む(録音の文字起こしをメールで送る)。ここまでをスマホ一つで完結させることに、ほかなりません。

前原さんは出張の日も休みの日も、いつものメールをスマホで開くだけ。誰も起きていない朝に、原稿は仕上がっている。パソコンは、消したまま。では、その保管庫(GitHub)の中では、ほかに何が動いているのでしょうか。次回、ふたを少しだけ開けてみます。


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