保管庫(GitHub)のふたを、開けてみます。前号Vol.38で、SNS執筆エージェントの中身は大きく3つだとお話ししました。全体の決まりを書いた指示書(CLAUDE.md)、確定した細かな決まりを集めたルールブック(複数の.md)、字数や表記を点検するPythonのプログラム。実はこの保管庫には、まだ紹介していないものが2種類あります。
1つ目は、サブエージェントです。役割を絞った小さなAIを定義したファイルで、本体のClaudeが必要な場面で呼び出します。人にたとえるなら、専門の担当者です。語感や敬語を確かめる校正役。Xの投稿らしさを見る役。AIにありがちな言い回しを検出する役。そして、出してよい情報かを確かめる番人役。この4人の担当者が、保管庫の中に控えています。Vol.34でお話しした、利益率のような業務上の細かい話は控えるという約束事を、配信前に確かめるのがこの番人です。
2つ目は、skills(スキル)です。特定の作業のやり方を1枚ずつ書いた、いわば作業カードです。指示書(CLAUDE.md)との違いは、読む場面にあります。指示書は仕事全体の決まりとして毎回必ず読むもの、skillsはその作業が来たときだけ必要な1枚を取り出すもの。使い分けは、人の職場と同じ要領です。文脈を読んで判断してほしい仕事は、サブエージェントという担当者に任せ、決まったやり方で確実にこなしてほしい作業は、skillsという作業カードにしておく。判断は担当者に、定型作業はカードに、という分け方です。
この分業は、前原さんの一言が届いた夜に動き出します。返信はまずルールブックに書き足され、翌朝の執筆に反映される。ここまではVol.36でお話ししました。その先です。書き上がった6案が、そのまま届くわけではありません。まずPythonの点検プログラムが、字数や表記の決まりを機械的に確かめる。次にサブエージェントたちが、語感、投稿らしさ、出してよい情報かを順に見る。全部を通り抜けた6案だけが、朝5時のメールに載ります。
AIで編集部をつくる。そんな構想を、Vol.29でお話ししました。書き役がいて、校正役がいて、点検係がいて、最後に編集長が選ぶ。あの編集部が、いまこの保管庫の中で毎朝動いています。編集長はもちろん、メールで6案から選ぶ前原さんです。
ただし、ここで全部はお見せしません。どの役割をいくつ置き、指示書に何を書き、点検に何を仕込むか。この組み合わせの設計が仕組みの肝で、会社の業種や発信の目的によって、毎回作り分ける部分だからです。
これだけの一団が裏で動いて、前原さんの手元に見えるのは、いつものメール一本だけです。見えないところで、いくつもの役割が動いている。見えるのは、メール一本。昨日の一言が今朝に反映される、この学びのループ。教え続ければ、どこまでも賢くなり続けるのでしょうか。実は、そこに落とし穴がありました。次回、このシリーズの最終回です。
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