AIエージェントにタスクを頼むとき、私は画面にタブを複数開きます。1つ目のタブでは顧客向けの資料作成。2つ目では調査。3つ目では記録の整理。それぞれのタブの中で、別々のAIエージェントが同時に働いています。自分の分身が3人、同じ時間に机を並べている。そんな感覚です。
分身たちは、私の就業時間にも縛られません。夜、寝る前に「この業界の動向を調べて、分析レポートにまとめておいて」と頼んでおくと、朝にはレポートがメールで届いています。私の一日は、そのチェックから始まります。これまで自分で検索し、読み込み、自分の言葉に書き直して分析していた業務が、寝ている間に終わっている。毎週でも、毎日でも、同じ時刻に繰り返させることができます。
この働き方に変えてからの私の実感では、時間あたりの成果は2倍、いや、3倍になっています。1人で同時に5つのタスクは進められませんが、分身と一緒なら進むからです。自動化の効果は、業務時間を減らすことだけではありません。同じ1時間から生み出せる成果の量そのものを、何倍にも増やせる。こちらの効果のほうが、経営への影響は大きいかもしれません。
残業も減ります。残業の中身の多くは、日中に手が回らなかった資料作成や調査、つまりパソコンの中の作業です。ここをAIエージェントに移せば、本人は定時で帰れて、会社は不要な人件費の増加を避けられます。働く人にも会社にもうれしい省力化です。
一番大きいのは、空いた時間の使い道だと私は思っています。重要だと分かっていながら、忙しくて手をつけられなかった業務。じっくり考えたかった分析、顧客への提案、新しい取り組みの検討。そこに、ようやく時間を注げるようになります。
もっとも、ここまで読んで「うちの業務は毎回違うから、AIエージェントには任せられない」と思われた方も多いはずです。次回はその疑問に、M&Aという、およそ定型とは呼ばれない業務を例にお答えします。
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