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Vol.40|造園業にAIを実装する。〜教えすぎると、忘れる〜

ある朝、SNS執筆エージェントが、いつもより短い原稿を出しました。Xの投稿は140字ぎりぎりまで使い切る。その決まりは、ルールブック(CLAUDE.md以外の複数の.md)にきちんと書いてあります。書いてあるのに、効いていない。調べてみると、原因はルールの内容ではなく、量でした。

意外に知られていない落とし穴があります。AIには、一度にきちんと効かせられる指示の量に限界があります。毎朝の執筆時、AIは指示書(CLAUDE.md)もルールブックも、まとめて読み込みます。だからどちらの側であっても、フィードバックを際限なく書き足していくと、ある量を超えたあたりで、かえってうまく働かなくなるのです。

決まりが増えるほど1つ1つの重みが薄まり、大事な指示をAIが見落とし始める。あの朝の短い原稿も、字数の決まりが他の指示に埋もれて、効いていなかったのが原因でした。教えるほど賢くなる、とこの連載でお話ししてきました。ただし、ただダメ出しを重ねればいいわけではないのです。

そこで私は、2つのことをしました。1つは、教えの置き場を役割で分けること。字数や使ってはいけない言葉のような、数えれば白黒つく決まりは、ルールブックから出して、Pythonの点検プログラムに固定する。プログラムは何百もの決まりを抱えても疲れず、見落としません。ルールブックに残すのは、文脈で判断が必要となるものに集中させる。あの字数の決まりも、点検プログラムへ移しました。以降、字数は一度も外れていません。

もう1つが、週1回の整理です。毎週日曜だけ、朝5時の6案のメールに、いま守っている決まりの一覧が添えられます。前原さんはそれを眺めて、役目を終えた決まりがあれば、返信で外していく。学びは、溜めるだけでは効き続けません。溜めて、整えて、また溜める。このフィードバックループまで含めて、AIエージェントです。

この連載で、要件定義から、入口の設計、学ぶループ、お手本、無人稼働、編集部の中身までお話ししてきました。最後に、その全部の土台にある考えを1つ。AIを戦力にするとは、賢い出力を1回作ることではありません。学びを溜め、整え、回し続ける仕組みまで設計すること。新人を採用して終わりにせず、教えて、振り返らせて、育て続ける。人材育成と、同じではないでしょうか。そして、いつか私の手を離れて、経営者ご自身で育てていける形に引き継げるよう、作っておくことです。

ここで作ったのは、造園業のSNS執筆エージェントですが、教えて、整えて、手渡すという設計のやり方は、業種を問いません。既製のソフトでは手が届かなかった、御社にしかない細かな日常業務。エージェントは、そこへ合わせて仕立てられます。発信でも、見積もりでも、日々の報告でも。AIが戦力になる場所は、思っているよりずっと手前、毎日の仕事の中にあります。


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