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Vol.44|造園業にAIを実装する。〜社長、「戦力」はこう作りました〜

仕組みの話の締めくくりは、作り方です。このエージェントを、私はプログラムを書いて作ったわけではありません。やったことは3つです。

まず、Vol.34でお話しした要件定義で、前原さんと「何を作るか」を決める。次に、Claude AI(チャット)と対話しながら、それを1本の設計書にまとめる。設計書には議事録の合意事項に加えて、前原さんの過去投稿約30本と、私が別件で運用してきた3つのエージェントのエッセンスなどを注ぎ込みました。

最後に、その設計書をClaude Codeに渡す。するとエージェントの基本構造が出来上がり、その日の晩には、録音を受け取り、原稿を書き、検品し、メールで届けるまでの全工程が、つながって動きました。

動き始めてからの機能追加も、型は同じです。返信の学習ループも、録音メールの取り込みも、日本語の「作業指示書」を書いて、Claude Codeに渡しました。書くのは、狙いと、やってほしい作業と、触ってはいけない場所と、何ができたら合格か。コードを書くのはClaude Codeで、私は完了報告を確かめて検収します。

従来のソフトウェア開発には、大きく2つの型があります。設計を全部固めてから作るウォーターフォールと、小さく作って短い周期で直し続けるアジャイルです。今回はアジャイルに近いのですが、違いが2つあります。

1つは、周期の短さ。毎朝5時の本番配信が毎日の試験を兼ねるので、朝の結果を見て昼に指示書を書けば、翌朝には直っています。もう1つは、分業です。コードはすべてClaude Codeが書き、人間は要件を決め、指示書を書き、検収する。日本語の指示書がそのまま仕様書として動くので、設計と実物がずれにくい。

このエージェントの保管庫であるGitHubには、運用のすべてが履歴として残ります。前原さんの録音、原稿案へのダメ出し、どの案が採用され、どう直されて最終投稿となったか。使っているだけで、発信の意思決定を記録したデータベースが育っていくのです。

Claude Codeは、この蓄積を検索して、必要な形に加工できます。これまでに採用された投稿をすべて抽出させ、カテゴリー別に整理して評価コメントをつける指示を入れると、数分後にその一覧表が出てきました。前原さんの一言は「すごすぎますよね。」蓄積データを検索しながら答えを組み立てる、RAG(検索拡張生成)と呼ばれる使い方です。

半年前、私たちの最初のテーマは、1枚の見積もりを速く作ることでした。Vol.8でお話しした、あの見積もりです。それがいま、発信は毎朝ひとりでに届き、履歴は資産として溜まっています。前原さんは、その履歴を眺め、整理しつつ、新規事業を視野に入れ始めました。仕組みが1つ現場に入ると、経営者の時間と目線が変わります。この半年で私が見てきたのは、その連続でした。

造園業でできたことは、業種を問いません。AIは、戦力になります。

そして本当の戦力は、AIとの分業で生まれた時間で、次の種を考え始めた経営者ご自身です。


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