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Vol.45|造園業にAIを実装する。〜社長、AIは戦力になりました〜

「あ、来ました。」画面の向こうで、アトツギの前原さんが届いたばかりの確認メールを開きます。半年間のセッションの最終回。この日の私たちがしていたのは、講義でも壁打ちでもなく、引っ越し作業でした。

運んだのは、この半年で一緒に作ってきた2つのAIエージェントです。1つはVol.8でお話しした見積もり作成の仕組み、もう1つは毎朝5時に発信案を届けるSNS執筆エージェント。プログラムとルールの一式が入った保管庫(GitHub)ごと、持ち主を前原さんへ移しました。私が操作し、前原さんには画面上で1つずつ承認していただきます。接続用の鍵も、すべて新しいものに貼り替えました。これで、前原さんの録音も、原稿へのダメ出しの履歴も、私からは一切見えません。ここからは、ご自身での運用です。Vol.40で、この仕組みをいつか手渡せる形にすると書きました。その手渡しの日でした。

振り返れば、始まりはAIではなく、決算書の読み方でした。そこから事業計画づくり、会社の旗印となるミッションやビジョンの言語化、ファイナンスの学びへと続きました。その学びは、社員の皆さんへの10年計画の発表という形になりました。その先で、気づけば2つのエージェントが毎日動いていました。前原さんは「まさか決算書からAIに行けると思ってなかったですね」と笑っておっしゃいました。

これからの方針も、この日うかがいました。経営者は少しずつ現場を離れていくものと語られがちですが、前原さんの結論は逆でした。社内で話し合い、この1、2年はご自身がもっと現場に出る。現場で会社の地力を蓄えたうえで、新規事業や、他社の事業を承継するM&Aという次の挑戦に向かう。発信は、録音した一言が翌朝に原稿へ変わる仕組みがあるので、現場に出るほど一次情報が増えていきます。

当初の予定どおり、半年間の伴走はこの日でいったん区切りです。ただ、締めくくりの空気は、終わりというより中休みに近いものでした。新規事業やM&Aの局面では、リスクを見極めて判断材料を整える相手が要ります。その時はまた一緒に考えましょうとお約束して、画面越しに頭を下げ合いました。別れ際の前原さんの一言は、「すぐ連絡するかもしれないです。」でした。

この連載も、いったんここで筆を置きます。社長、AIは戦力になりました。次にお届けするのは、その戦力とともに現場を選んだ経営者の、続きの話かもしれません。


あとがき

最後に、前原さんへ。半年間のセッションの中身を、この連載でそのまま公開することを快くご了承いただきました。うまくいった話だけでなく、試行錯誤の途中も、そのまま書かせていただきました。おかげでこの連載は、同じ立場の方に届く記録になりました。心より御礼を申し上げます。那覇造園土木の、これからのご発展を願っております。

みなと中小企業診断士事務所 佐々木拓郎


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