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Vol.5|ロングテール業務のAI自動化革命~M&Aにも、型があった~

M&A、つまり会社の買収は、高度な専門業務の代表格です。案件ごとに相手も金額も事情も違い、誰が見ても非定型に思えます。しかし、そのプロセスを書き出すと景色が変わってきます。

候補企業を探し、IM(企業概要書)を分析し、財務モデルで企業価値を算定する。社内向けの説明資料と申請書を作り、買収前のデューデリ(詳細調査)を進め、契約書を詰める。案件の中身は毎回違っても、参照する情報、判断の順番、成果物の形には繰り返される型があります。

ここが核心です。投資計算、採算分析、申請書の所見、分析レポート、契約書のレビューといった知的生産的なタスクにも、その材料となる情報があり、何らかの処理工程を経て、成果物(調査・分析結果)が出ます。この「入力・加工・出力」がパソコン上で完結し、判断の基準や分析結果を文書化できるのなら、人間には非定型業務に見えても、AIエージェントにとっては定型業務ということになります。つまり、AIエージェントに任せられる一連のワークフローに変えることができるようになります。

AIエージェントにとって難しさを分けるのは、人がそのタスクを「単純作業」と呼ぶか「高度な専門業務」と呼ぶかではありません。どの情報を読み、どの基準で判断し、何を作るかを再現できるかです。例外ばかりの手作業より、判断基準が明確な財務分析のほうが、かえって任せやすい場合もあります。

財務分析なら、AIエージェントが必要なプログラムを書いて計算し、根拠を示す。申請書や分析レポートなら、過去の成果物とクライテリア(判断基準)に沿って下書きを作る。契約書なら、確認項目に沿って論点と質問を整理する。最終判断や承認は人が担いますが、その前段の読み込み、比較、計算、文書化はある程度まで任せられるのです。

クライテリアは、最初から明確な手順書になっている必要はありません。過去の成果物、修正履歴、熟練者の頭の中にある経験値に、暗黙の法則や処理パターンが宿っているはずです。それを表に出して言語化できれば、高い知的生産性が必要だと考えられてきた業務も、AIエージェントのワークフローに乗せられるのです。

しかも、この設計を担うのは、必ずしもエンジニアではありません。どの情報を使い、何を重視し、どんな成果物に仕上げるかを最もよく知るのは、その業務を担ってきた本人です。本人が判断の基準を自然言語で伝え、AIエージェントと試作を重ねる。業務の専門家自身が、自分のタスクを自動化する設計者にもなれるのです。

では、ベテランの頭の中に埋もれた暗黙知を、どうやって形式知にするのか。実は、その作業もAIエージェントが手伝えます。次回は、手順書をAIが書いた話をします。


みなと中小企業診断士事務所からのご案内

御社の「小さく、多く、面倒な仕事」を、一度棚卸ししてみませんか。

月に一度だけ作る資料。取引先ごとに書式が違う書類。たまに発生する問い合わせへの対応。複数のファイルから数字を集めて作る報告書――。一つひとつは小さくても、種類が多く、会社全体では大きな時間を使っている。けれど、従来のシステムでは採算が合わず、人の手と記憶に残されてきた。こうした仕事を、みなとでは「ロングテール業務」と呼んでいます。

AIエージェントの登場によって、この領域も自動化できるようになってきました。

みなとは、単にAIツールを紹介するのではありません。御社の業務を棚卸しし、人が判断すべき仕事とAIに任せられる仕事を分け、まずは一つの業務から小さく試します。試作、検証、運用設計を重ねながら、現場で使い続けられる仕組みを一緒に組み上げます。

目指すのは、単に仕事を速くすることではありません。AIに任せられる作業を移し、経営者や社員の時間を、顧客対応、提案、人材育成、新しい事業など、会社を前へ進める仕事へ戻すことです。

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