プレマーケティング(先行販売)後編

海外事業の教科書

後編は実際にプレマーケティングを開始し、どのように顧客開拓を広げていくかについてお話します。

プレマーケティングは顧客開拓の第一歩

前編中編と、プレマーケティングで実際に販売する商品の開発手法を中心に説明してきました。一方、言うまでもなくプレマーケティングの最大の目的は、工場完成後の本稼働前までに顧客基盤をできる限り構築していくことです。

どうやって顧客開拓を行うのか

新市場戦略を取り、海外市場に打って出たとしましょう。事業パートナーが既に顧客基盤を有していて、そこに自社製品を落とし込むようなスキームであれば、難易度はそれほど高くはありません。一方、顧客基盤を全くのゼロから作る場合、用意周到に取り進めないと、輸入した製品が倉庫でずっと眠ったままになる事態が起こりかねません。

ではどうしたらよいのでしょうか。最初の第一歩は、営業要員の採用にあると考えます。参入する業界に長けた営業要員を、複数のヘッドハンティング会社経由探り当てていく必要があります。ピンポイントでそのような人材が速やかに獲得できれば言うことはないですが、大抵は、エクスパティーズ(業界専門性)はそこまで望めないが、知見がなくはないだろうという人材の採用を積み重ねていくことになります。とは言え、プレマーケティングの段階から、エクスパティーズの高くない人材を多く獲得しても効果が望めませんので、精力的に探していく必要があります。

営業要員が採用できたら

営業要員が採用できたら、彼ら、彼女らが知っている顧客候補をリスト化し、とにかくアポをとって訪問していきます。その段階で、中編で説明した通り、製品サンプルを配り顧客からのフィードバックを集め、また改善サンプルを送り、といった具合で製品開発の精度を高めていきます。その過程で顧客との関係性構築も勤しみましょう。

営業要員の増員方法

営業要員が1人採用できたら、ヘッドハンティング会社経由さらなる人材の獲得を目指しつつ、その1人目の営業要員に人材を紹介してもらう方法があります。いわゆるリファラル採用です。

1人目の営業要員が業界に精通していれば、どのような人材がその業界にいて、どの会社の誰が優秀で(名が知られていて)、転職を希望している可能性有無といった情報を持っている可能性があります。少なくても元いた会社の同僚の情報は持っているでしょう。

筆者の経験上、その1人目の営業要員が優秀であれば、彼または彼女が、レコメンドしてくる採用候補者も比較的優秀である可能性が高い。少なくても、ヘッドハンティング会社経由における、ある意味「彩られた」履歴書と、「訓練を重ねた」面接対応で見えにくくなっている本人のポテンシャルを見抜くという観点では、リファレル採用の成功確度は高いと言って良いと思います。

また、その1人目の営業要員にとってみれば、紹介した候補者が優秀でなければ自分のレピュテーションにも響きかねないというある種の緊張感あるいは責任感があるでしょう。また、優秀な人材が来れば、組織としての営業力が高まる、即ち高い目標への実現確度が上がり自分のポジションを上げていくことができる。あるいは、純粋に一緒に働きたいというモチベーションもあるでしょう。

特にその1人目の営業要員がマネージャー候補であれば、自分のチームを自分で作るというモチベーションも出てくるでしょうから、相対的にリファラル採用の方が、優秀な人材が獲得できる確度が高くなると考えられます。

マネージメントの立場からは、従業員に採用役をお願いするわけですから、採用成功の暁には、適正なインセンティブを用意するということは必要になるでしょう。

まとめ

  • 大前提として、マーケティングの最大の目的は、工場完成後の本稼働前までに顧客基盤をできる限り構築していくことにある。
  • 顧客開拓の第一歩は営業要員の採用。
  • 営業要員の採用は、採用済み営業要員のネットワークから候補者を選出するリファラル採用が有効。
  • リファラル採用は、候補者を紹介してきた社員のモチベーション向上にも繋がる。
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