これまで、新規事業の開発手法から始めり、事業パートナーの発掘、FS、合弁契約交渉、会社設立、工場建設、プレマーケティング、事業立ち上げ、プロダクトミックス、組織設計、販売計画と管理会計、採用、人材育成、商品戦略、与信管理、サプライチェーンマネージメントと、海外でどのようにして事業を立ち上げ軌道に乗せていくかについて、筆者の経験に基づき解説してきました。
単なる経験談ではなく、確立されている経営理論をどのようにして現場に落とし込み、効果を上げていくかという観点で深掘りしてきました。
経営理論というのは、先人たちが積み上げてきたBest Practiceであり、現場で実践していくためのHow toだと思うのですが、どうも堅苦しく、学問として認知され、現場と離れたところにあることが気になっていました。
筆者は、総合商社で売った買ったを行うトレーディングの経験が長く、現場のたたき上げですが、その一辺倒での限界を感じ、中小企業診断士という資格取得を通じて経営理論を学びました。
結果、資格取得直後に海外で事業の立ち上げに携わることになり、学んだ理論を現場で実践することを繰り返し行ったきたのですが、やはり先人たちのBest Practiceは応用が必要だが現場で役に立つということを何度も実感しました。経営理論が頭の引き出しに加わり、それ以前に培ってきた商売勘と連動し始めたのです。
この実感を、多くの経営者、経営幹部、これから目指す方々に肌で感じて頂きたい、そのお手伝いをさせて頂きたい、というのが執筆に至った理由です。
本稿をもって、これまで連載してきた「海外事業の教科書」を終了させて頂きたいと思います。これまで、長文にお付き合い頂きありがとうございました。月並みな言葉にはなりますが、少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
みなと中小企業診断士事務所
佐々木拓郎