「200はすごいっすね、これ」。並んだ言葉の山を指で追っていたアトツギの前原さんが、画面の前で声を漏らしました。
那覇造園土木のミッション・ビジョン・コンセプトを固める段階に入りました。経営の旗印になる3つの言葉です。私がAIに作らせたのは、ミッション単体の言い換えで50案、3つの組み合わせで200案。合わせて250案を、前原さんの目の前に並べました。
なぜそんなに数を出させるのか。1案ずつ磨いていると、AIは整合性のとれた答えを出してきます。ただ、そこから先は磨くほどに角が取れて丸くなり、しっくりこない、ありきたりの言葉ばかりが残っていく。これがAIベタ褒めの罠です。
だから一度ぐっと拡散させて、その玉石混交の山から経営者自身が掘り当てる。ここで効いてくるのが、AIディレクション力の核となる目利きです。大量のアウトプットから自社の事業にとって筋の良いものを正確に見極める「審美眼」。そして、AIが偶発的にポンと出してきた、自分の頭にはなかった視点——進化論でいう突然変異のような種——を見逃さずに拾い上げ、新しい価値に繋げる「セレンディピティ」。AIに金脈の山を作らせ、経営者が掘る。この2つの目利きこそ、経営者が手放してはいけない仕事です。
前原さんは250案を眺めながら、「事業と公共工事という2つの軸で考えると、これですかね」と本命を一発で射抜きました。選ばれた仮の本命は、ミッションの「沖縄の暮らしをまもる」。両輪で進める伐採事業と公共工事のどちらにも振り切らない、地域インフラとしての存在意義を1語で受ける言葉です。ただし、これで決定ではありません。次回までに、ビジョンとコンセプトも含めた最終のミッション・ビジョン・コンセプトを固めていきます。
AIは案を出し、経営者は選び抜く。役割が分かれた瞬間、AIは案出し職人、経営者は本来の決裁者に戻ります。便利な仕組みが増えるほど、選ぶ目が問われます。経営の判断は、案の数の先ではなく、選び抜いたあとに立ち上がってきます。
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