システム会社なら数百万円。それが、10時間で形になった
沖縄で造園業を営む那覇造園土木。アトツギとして現場と経営の両方を担う前原さんに、スマホから見積書をそのまま作れる専用アプリをお渡ししました。
画面を見た前原さんは、指先を止めてこう言いました。
「いやあ、今鳥肌レベルでびっくりしてます。アプリを自分で作れるって、こういうことかと」
システム会社に依頼すれば、最低でも数百万円。納期は数か月から半年。それが、AIとの協働で約10時間の作業に圧縮されました。
中小企業診断士が、なぜアプリまで作るのか
正直に申し上げます。経営コンサルタントがコードを書いてアプリを実装するのは、業界では極めて稀でしょう。
私自身は非エンジニアです。情報系の学位もなければ、SIerでの開発経験もありません。商社で経営・管理の現場を歩いてきた、ごく普通のビジネスパーソンです。
それでも今、AIと対話しながら、現場で実際に動くアプリを構築できます。なぜか。経営者の言葉を、AIが理解できる設計図に翻訳する仕事——これこそが、現場を知る診断士にしかできない領域だと気づいたからです。
数字を読み、業務フローを構造化し、現場の暗黙知を言語化する。診断士が日々やっている仕事は、実はAI時代の「上流設計」そのものでした。
現場の動きが、そのまま設計になる
前回のセッションでは、音声入力を検討していました。しかし前原さんは「画面を見ながら修正していくなら、ボタン式の今の形のほうが相性がいい」と判断を切り替えました。
現場でスマホを片手に、人数を増やしたり減らしたり——その感覚が、そのままアプリの使い心地に直結しています。経営者自身の手の動きを言語化できれば、アプリはそれに従う。これがAI時代の内製化の出発点です。
アプリの内部構造——2層で設計しています
冒頭の構造図をご覧ください。このアプリは「現場操作層」と「システム基盤層」の2階建てで設計されています。
【現場操作層】スマホ1台で完結する業務フロー
第一に、スマホでの数値入力とリアルタイム計算。重機の台数や作業員数を入れると、AIロジックに基づく単価が即座に算出されます。
第二に、AIによるインテリジェント警告機能。重機回送費の漏れを検知し、人員と機材数の不一致があれば「本当に大丈夫ですか」と問いかけてくれます。これは単なる入力フォームではなく、ベテラン社員が隣で見守ってくれているような存在です。
第三に、作成した見積書を直接BoxやGoogleドライブへ保存。事務所に戻る必要がありません。現場から見積書を発行し、そのままお客様に提示できる。移動時間という最大のロスがなくなります。
【システム基盤層】AIが構築した実行環境
下段は、私が10時間で組み上げた裏側です。Claude CodeによるPython/HTML生成でコードを書き、GitHubとRenderによる24時間稼働環境にデプロイしました。社員4名が同じリンクから24時間いつでも、どこからでも使えます。
そして右端の比較表が、このプロジェクトの本質を物語っています。開発期間は約10時間 vs 数か月〜半年。出力形式は既存Excelと完全一致 vs 独自フォーマット。修正対応はAIへの指示で即時 vs 追加費用と数週間の待機期間。
数十分の一のコストで、現場により合ったものができる。これが今、起きていることです。
一番こだわったのは「AIに任せきりにしない設計」
出力は、使い慣れたExcel形式。前原さんは深く頷きました。
「Excelのままの保存なので、セルの中身を自分で確かめられる」
AIが出した数字をそのまま信じるのではなく、Excelのセルを開けば数式が見える。合っているかどうかを、人間が最後に判断できる。
実はこの「AIの計算をExcelの数式に完全一致させる」作業が、開発で最も時間のかかった部分でした。普通はアプリが上流でExcelが下流ですが、今回は逆です。前原さんが長年使い慣れたExcelテンプレートに、AIを従わせました。AIと共存するというのは、こういうことだと思っています。便利さと引き換えに、経営者が「中身がわからないブラックボックス」を抱え込むのでは本末転倒です。
開発の裏側——AI同士に相談させる10時間
要件整理はChatGPTとClaudeで壁打ち。設計と実装はClaude Codeに任せ、つまずけばAI同士で相談させる。10時間のほとんどは、この往復でした。
経営者の言葉を設計図に翻訳し、AIに正しく指示を出す。出てきたコードを業務知識で検証する。この一連の「翻訳と検証」を担えるかどうかが、AI時代のコンサルタントの分岐点だと考えています。
「もう元取れました」——その先に広がる景色
「もう元取れましたって感じですね。それ以上の価値をご提供いただいた気持ちです」
そう言って前原さんは、少し笑いながら「教えたくないな」と続けました。
頭の中ではすでに次が動き始めています。来週の現場での実戦投入。社員4名全員が見積書を作れる体制。そして、新規事業への展開。
「これもできるんじゃないか、あれもできるんじゃないかって、派生してくるんですよね」
前原さんが見ているのは、アプリそのものではなく、その先に広がる景色でした。
ITツールは「発注するもの」から「AIと一緒につくるもの」へ
数百万円の見積書と数か月の納期を待つ時代は、終わりかけています。経営者の頭の中にある「こうしたい」を、10時間で形にできる時代が始まっています。
ただし、AIに丸投げすれば良いものができるわけではありません。現場を知る経営者の言葉を、AIが理解できる設計に翻訳する伴走者が必要です。コードを書ける診断士は、まだほとんどいません。だからこそ、みなと中小企業診断士事務所がこの役割を担います。
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