「あまりピンと来ないですね」。ChatGPTとClaudeにまとめさせた組織変革のストーリーを画面で読み終えたアトツギの前原さんは、率直にそう言いました。3つの未来シナリオと3つの事業課題を組み合わせた提案でしたが、焦点があちこちに散ってしまっていたのです。
ただ、その中でXの発信に触れた1ヵ所だけは芯を食っている感覚がありました。そこで切り口を絞り直します。未来シナリオは「回復力と循環経済」の1本に固定し、3つの事業課題と掛け合わせ、Claudeに9つの組織変革ストーリーを作り直してもらいました。
台風の翌朝、復旧の現場をX中継する「回復力の語り」。伐採した木がチップや堆肥になり地元の農家まで届く流れを追う「循環を見せるX」。台風シーズン前に庭木の危険箇所を診断する「備えへの発信」。読み終えた前原さんが言いました。「1番、2番、3番全部なんすけど、すごく深いところで刺さってますね」。
さらに「まだ気づいていない切り口で5つ」と頼み直すと、見積書の裏側を見せる発信や、お客様の声を物語にする発信など、別の角度の案がまた出てきます。広げて、絞り直して、また広げる。
AIは一発で正解を出してくれるわけではありません。デザイン思考でいう拡散と収束を、指示する側の経営者が何度か往復させる。どこを掘らせ、どこを捨てるかを判断する。その積み重ねの先で、自社の足元と将来がつながる物語が立ち上がってきます。
「AIすごいっすね。やっぱディレクション力ですよ」「視界がすごく明るくなりました」と前原さんは言いました。ピンと来なかった一発目で決め切らなくていい。
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